CLASSIFICATION
世界最高のワイン生産国のフランスでは、1935年に制定されたワイン法(AOC:原産地呼称統制法)があり、国を挙げて品質の維持・向上に取り組んでいます。AOC法は、政府の機関(INAO:全国原産地名称協会)によって諸規制が定められ管理されており、産地ごとに定められたブドウの品種や製法などの要件を満たさなければ、原産地を名乗ることはできません。 フランスで造られるすべてのワインは、AOC法に基づいて4カテゴリーに等級分類され、品質の基準となっているのが格付けです。 格付けには「国で定めた格付け」と各地区で独自に定めた「地区ごとの格付け」の2種類あり、これらはワインのラベルに表記されているため、ラベルを見れば品質がある程度わかります。
AOC 旧ワイン法(2008年収穫年まで)
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AOC(Appellation d'Origine Controlee:原産地統制名称ワイン)
AOC法に基づく最高格付けの高級ワインで、INAOによりブドウ品種、原産地、栽培法、醸造法、アルコール度数などについて、厳しく管理・統制されています。
原産地名は地方、地区、村、畑、という順序で、その単位が狭められていきます。区画が細分化されるほどに生産基準が厳しくなるため、ワインの品質や格が上となり、個性も強くなります。
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AOVDQS(Appellation d'Origine Vins Delimites de Qualite Superieure:原産地名城上質指定ワイン)
最上級であるAOCに比べ、ブドウの収穫量やワインのアルコール度数などの規制が比較的ゆるやかに定められていますが、ラベルにはINAOによる検査番号入りのVDQS保証マークの表示が必要です。
EUのワイン法AOP(原産地名称保護制度)に該当するカテゴリーがないこともあり、2011年に廃止されました。
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VIN DE PAYS(地酒)
1979年に新しく定められたカテゴリーで、「地方のワイン」を意味し、いわゆる地酒です。
テーブルワイン(日常消費用ワイン)の中でも、異なる産地のワインとのブレンドは禁止されていて、法に定められたブドウのみを使用、その地域名をワインの名称とすることができます。
EUのワイン法AOP(原産地名称保護制度)では、地理的表示保護ワイン(IGP)に該当します。
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VIN DE TABLE(日常用テーブルワイン)
毎日の食卓で飲むためのテーブルワインで、特に規制はなく、ラベルには国名以外の原産地を記載していません。
その多くは地中海沿岸で大量生産されるワインをブレンドして造られますが、フランス産のみの場合は「Vin de table francais」と表示されます。
現在大手のネゴシアン(ワイン商社)によって造られているものは、安価でも品質が安定しています。
AOP 新ワイン法 2009年収穫年から
消費者により分かりやすく伝わるようにEUの規定の変更され、2009年にAOPとIGPという2つのカテゴリーを設け、これらと地理的表示のないワイン(VIN DE TABLE)という、3カテゴリーに分類されなおしました。 2008年まではAOC法、2009年からはAOP法(原産地保護呼称法)となり、ボルドーでもブルゴーニュでも、全てのフランスワインに共通しています。
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AOP(Appellation d’Origine Protegee:原産地呼称保護ワイン)
フランスのAOCに倣って生まれたカテゴリーで、特定の産地で生産される最上級ワイン。ブドウ品種、原産地、栽培法、醸造法、アルコール度数など、細かい規定が定められ、専門家がテイスティングを行っています。
※旧AOC(原産地統制名称ワイン)+AOVDQS(原産地名城上質指定ワイン)
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IGP(Indication Geographique Protegee:地理的表示保護ワイン)
IGPは従来のVIN DE PAYS(地酒)に相当し、産地を表示できるテーブルワイン。原産地に着目してEUで規定され、フランスではINAOが統括しています。